ジャンプ+にて、2021年7月19日に漫画「ルックバック」が公開されました。
ルックバックはチェンソーマンの作者である藤本タツキ氏が書いた読切作品です。
このルックバックが現在ネットで大きな話題を呼んでいます。
というのも、ルックバックという作品には多くの意味が込められているため。
そこで、ルックバックの考察をまとめてみました。
ルックバックの意味は?
藤本タツキ先生最新読切「ルックバック」です!ぜひ読んでください!!それしか、言えない!!! #ジャンププラス https://t.co/WD6XgfLzP3
— 細野修平@少年ジャンプ+編集長 (@HosonoShuhei) July 18, 2021
まずは、ルックバックの意味から紹介していきます。
ルックバックは直訳すると、「背中を見て」という意味になります。
本作の主人公である藤野と、引きこもりの京本の二人が中心となってストーリーが進みます。
京本は藤野に憧れていました。
そのため、京本が藤野の背中を見て成長していく、という意味が込められていると思われます。
しかし、京本は藤野からの依存をやめて、一人で生きていくことを選びます。
美大に進んだ京本はと通り魔に襲われて死んでしまいます。
これを藤野が悔やみ、京本について回想している点についてもルックバックという言葉が関連していると思われます。
ルックバックの藤野と京本の名前
本作の主人公の藤野と、そのキャラクターを支える重要な京本。
この名前の由来は藤本タツキ氏の名前から来ているのではないでしょうか。
また、7月19日といえばある事件が実際に起きた日と関連します。
実際に起きた日付は2019年7月18日。
京都アニメーションに男が侵入し、ガソリンを撒いて放火した事件です。
京都アニメーションは京アニと呼ばれており、京本にはこの「京」の文字が使われています。
さらには、京本は不審者によって殺されてしまう点が、現実とリンクしています。
そのため京本はここから名前が付けられたのではないでしょうか。
ルックバックの11巻だらけの本棚
藤野の本棚には、自身が描いた作品である「シャークキック」が並んでいます。
しかし、11巻で止まっており、しかも11巻だけ複数冊並んでいます。
これは藤本タツキ氏のチェンソーマンに関連していると思われます。
というのも、チェンソーマンの第1部は11巻で終わっています。
この漫画の最後の方では、「つづきは12巻で!」と書いてある部分があります。
これはもしかしたら12巻に続くチェンソーマンが公開されるのでは?と言われています。
チェンソーマンはアニメ化が予定されていますが、こちらを表しているのでは?という考察をしている人もいました。
しかし明確に「12巻」と書いているので、アニメとの関連性ではなく、漫画のチェンソーマンとの関連性が強いと思います。
ルックバックのoasisの曲との関連
ルックバックの1ページ目には「Don’t」、最後のページには「In Anger」とあります。
この言葉をタイトルのLook Back を挟むと「Don’t Look Back in Anger」となります。
これはイギリスの有名ロックバンドの曲で、「怒りを持って過去を見てはいけない」という意味になります。
この曲は、イギリスのマンチェスターでテロが行われた時に歌われた曲です。
1人の女性が犠牲者の追悼式で歌い始めると、自然発生的に合唱に結びつきます。
マンチェスターはoasisのメンバーの出身地で歌われたということもあります。
もう1つの理由がその歌詞にあります。
一見すると男女の別れを歌っている歌詞に思われますが、感情的になっている人を諭す言葉とも捉えられます。
初めに歌いだした女性は「私たちは起こったことに対して後ろ向きになってはいけない。前を向かないと。」とインタビューに答えています。
このように、後ろ向きにならずに前を向いて生きていくべきである、という思いで歌ったのです。
もちろん藤野に対して、前を向いて生きてということを示唆しているとは思います。
しかし、これも京アニ事件に対しても同じことを言っているのではないでしょうか。
なお、この曲の歌いだしは「Slip inside the eye of your mind」で始まります。
「あなたの心の目の中に滑り込んだ」という意味になります。
四コマの紙片を藤野が京本の部屋に滑り込ませることを意味しているのではないでしょうか。
ルックバックに登場するワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
ルックバックのラストシーンでは、藤野が机に向かうシーンで終わっています。
そのコマの左下には雑誌のようなものが並んでいます。
その中に「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のジャケットが描かれています。
ルックバックは藤本タツキ氏によるワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドのオマージュ作品のように思えます。
実際にルックバックを読みながら、ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドを思い出したという人も多数いました。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッドは、ハリウッド女優がカルト集団に襲われた事件を背景に描かれた作品です。
この件も、京アニ事件と合致する内容となっています。
ルックバックの京本が描いていた絵は?
ルックバック作中で、美大に入った京本は大きな扉を描いた作品を作成していました。
これは藤本タツキ氏の作品のチェンソーマンにたびたび出てくる「扉」と同じではないか、という指摘がありました。
確かに見てみると、同じ扉に見えます。
チェンソーマン内では開けることを拒む扉となっています。
これは引きこもりだった京本が藤野によって扉からでなければ死なずに済んだのであり、開けてしまったために死ぬ未来を創りだしてしまった事を示唆しているように思えます。
藤野は「部屋から出てこないで」という意味の四コマ漫画を、空想の中で描いていました。
この扉を開けなければ死ななかった未来を選べたのに、という内容が暗に示されています。
ルックバックは2つの世界線で描かれている?
ルックバックでは、京本が死んでしまう内容が描かれています。
しかし、作中では京本を藤野が救う内容についても描かれていました。
これは別の世界線の話なのか?と話題になっていました。
読み解くと、京本が死んでしまわない内容はその先では描かれていません。
ルックバックという名のとおり、藤野が過去を振り返ってこうすれば助かったのでは、と想像した世界を描いていると思われます。
最終的には京本は死んでおり、しかし藤野はその過去を背負いながらもそれに囚われずに生きていくんだ、というメッセージが込められているのではないでしょうか。
ルックバックの考察を紹介!京アニ事件やチェンソーマンと関連も?まとめ
ルックバックの考察について、紹介しました。
これらは藤本タツキ氏が考察を出しているため、誤っている内容もあるかもしれません。
しかし、多くの人が作品からはこのような印象を受けているのは確かです。
また、本作では京アニ事件との関連性は随所に見られます。
もちろんこの事件を忘れるということはできませんが、亡くなってしまったという面だけではなく、亡くなった人たちが素晴らしい作品を作っていた、という面についても目を向けてほしいものです。
最後に、京アニ事件で亡くなった人々に、ご冥福をお祈り申し上げます。
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