ここ最近レアメタル不足が報道されていますが、レアメタルの主な用途は知っていますか?
また、日本ではレアメタルの用途は主になんでしょうか?
日本で今後のレアメタルに対する方針が発表されましたが、このレアメタルの日本での用途や、そもそもレアメタルとは?などを紹介します。
レアメタルの日本での用途は?
「2030年前半、ガソリン車販売禁止」というニュースが2020年12月に流れました。
しかし、これは政府の正式決定ではなくあくまでも経済産業省の施策が一部のメディアに流れただけ、というもの。
とはいえ日本では環境に優しい自動車であるEV車等を今後力を入れていく必要があります。
そこで必要になるのがレアメタルです。
EV車へのレアメタルの用途ですが、主にバッテリーです。
EVの価格の3分の1はバッテリーとされており、レアメタルの価格がそのまま車体の価格に反映されます。
レアメタルが高価だとEVの価格が高く、さらにレアメタルを入手できないとそもそもEV車を製造することができません。
日本はこれからEV車に力を入れていく、という段階です。
ここでレアメタルを入手できないと、EV車の普及に妨げの大きな要因となってしまいます。
また、バッテリーだけでなく、また排気ガス浄化にプラチナ、セリウム等、さらにはライト、駆動モーター、ディスプレイ、ボディにまでレアメタルが使用されています。
そして、製造工程で必要となる超硬工具にタングステンやコバルト等も必要となります。
EV車以外にも医療機器、テレビ、パソコン、デジタルカメラ、スマートフォンなど多様な製品に使われています。
日本でも多くの企業が関連している分野での幅広い用途で使用しているため、レアアースは日本産業にとっては必要不可欠な素材です。
日本のレアメタル消費量は世界と比較しても多く、インジウムは86%、コバルトは25%、レアアースは24%、モリブデンは22%、プラチナは15%となっています。
世界有数のレアメタル消費国であるにも関わらず、日本は国内のリサイクル分を除きほぼ全量を海外からの輸入に頼っているのが現状です。
レアメタルとレアアースの違いは?
そもそもレアメタルとはなんでしょうか?
金属の種類は大きく分けて次のような種類に分けられます。
・貴金属:金、銀、白金(プラチナ)やパラジウムなど希少で耐腐食性がある金属
・レアメタル:地球上の存在量が稀か、技術的・経済的な理由で抽出困難な金属
レアメタルは以下のものが挙げられます。
リチウム | ベリリウム | ホウ素 | [ 希土類 ] | チタン |
[Li] | [Be] | [B] | [Ti] | |
バナジウム | クロム | マンガン | コバルト | ニッケル |
[V] | [Cr] | [Mn] | [Co] | [Ni] |
ガリウム | ゲルマニウム | セレン | ルビジウム | ストロンチウム |
[Ga] | [Ge] | [Se] | [Rb] | [Sr] |
ジルコニウム | ニオブ | モリブデン | パラジウム | インジウム |
[Zr] | [Nb] | [Mo] | [Pd] | [In] |
アンチモン | テルル | セシウム | バリウム | ハフニウム |
[Sb] | [Te] | [Cs] | [Ba] | [Hf] |
タンタル | タングステン | レニウム | 白金 | タリウム |
[Ta] | [W] | [Re] | [Pt] | [Tl] |
ビスマス | ||||
[Bi] |
前章でもレアメタルの中に、レアアースという単語が出てきましたが、こちらについても説明しておきます。
レアアースはレアメタルの中のうちの1つですが、17種類の資源を一括りとしてレアアースと呼ばれています。
これは希土類と言われる物質に属しており、地球上にはわずかしか存在していない、と言われています。
しかしながら、このレアアースの需要は大きなものがあります。
永久磁石の製造に使用される「ネオジム」「ジスプロシウム」や、テレビや蛍光灯に使用される「イットリウム」「ユウロピウム」などが該当します。
レアアースの一覧はこちらです。
スカンジウム | イットリウム | ランタン | セリウム | プラセオジム |
[Sc] | [Y] | [La] | [Ce] | [Pr] |
ネオジム | プロメチウム | サマリウム | ユウロピウム | ガドリニウム |
[Nd] | [Pm] | [Sm] | [Eu] | [Gd] |
テルビウム | ジスプロシウム | ホルミウム | エルビウム | ツリウム |
[Tb] | [Dy] | [Ho] | [Er] | [Tm] |
イッテルビウム | ルテチウム | |||
[Yb] | [Lu] |
そして、このレアアースのほとんどが中国から産出されており、中国が輸出規制を行った2010年には、価格が最大10倍にも高騰しました。
現在の価格は落ち着いているものの、今後も高騰や入手ができなくなるというリスクを抱えています。
レアメタルは日本はリサイクルを利用して入手
2021年3月29日に報じられたニュースでは、日本政府はレアメタルを国内だけでなく国外を含めた形で回収し、再利用する拠点を国内に整備する方針を決めた、と報じられています。
これまで日本はレアメタルのほぼ全量を輸入に頼ってきました。
さらに、EV向けのレアアースは6割前後を中国に頼っています。
日本政府はレアメタルを算出する海外の鉱山確保や国内整備を取り組んできましたが、第3の柱としてレアメタルの回収と再利用によるリサイクル体制の構築を検討しています。
しかし、レアメタルのリサイクル技術はまだまだ発展途上。
現在は実証実験の段階までは来ていますが、確立されていないのが現状です。
そのために、非鉄金属を手掛ける企業がレアメタルの回収・再利用を事業化できるように研究・開発資金の援助を行うことが決まりました。
それだけではなく、次のようなことを実施していくこととなっています。
・欧米などの先進国へレアメタルを輸出
このような取り組みで「脱中国」を目指し、レアメタルを始めとする鉱物資源の安定供給確保を目指していくこととなっています。
レアメタルの確保は日本経済の最重要項目
レアメタルの日本での用途や、そもそもレアメタル、レアアースとはなにか。
さらには今後の日本のレアメタルに対しての方針を紹介しました。
中国に頼らない国策が非常に重要になってきますね。
レアアースについては中国では、2021年に輸出の統制を強化する、と発表しています。
このようなことからも、今後は中国頼みにならない入手経路が確立されると、世界における日本の位置が重要視されるのではないでしょうか。
コメント