京都府立植物園・再開発の計画案の内容は?存続のための論点を紹介!

京都府立植物園,再開発,計画案 SNSで話題

京都府立植物園を含む、京都の北山エリアの再開発の計画案の内容に関して、反対する署名運動が始まっています。
京都府が進めている「北山エリア整備基本計画」はどのような内容なのでしょうか?

また、基本計画については広く意見を求め、その内容については公開されています。
京都府立植物園に関しての質問はあったのでしょうか?

今回は京都府立植物園を含む北山エリアの再開発計画の内容の骨子と、どのような質疑があったのかを紹介します。
 

京都府立植物園の再開発の計画案の内容は?

京都府立植物園を含んだ北山エリア整備基本計画の内容を紹介していきます。
この内容は2019年10月に策定した「京都府総合計画」にて骨子の作成が行われました。

計画策定の背景と目的

北山エリアは豊かな自然環境の中、多数の府立施設が存在する府民の憩いの空間であると共に、「文化と環境が共生する京都」を内外に発信できる魅力ある地域としての大きな可能性を秘めている」ことから、2009年から施設整備に取り組んできました。

具体的な内容としては、以下のようなものになります。

・府立医科大学、府立大学、京都工芸繊維大学の3大学と連携による、教育教養共同化施設の整備
・植物園の魅力を伝えるふれあいの空間設置
・植物園の魅力向上のための各種施設整備や回遊性を高めるための入園門の整備
・旧総合資料館と府立大学が連携した京都学・歴彩館の整備
・上記施設をつないでエリア内の回遊性を高め、人の交流を促進するための広場・プロムナードの整備

これまでもこのようなことに取り組んできているのですね!
様々な整備をしてきているのに、不足なところがあるのでしょうか?

北山エリアの抱える課題とは?

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京都府が考える北山エリアの課題は次のようなものです。

・各施設は区切られた閉鎖的な空間となっているため、府民にとって往来しにくい
・賑わい、交流機能が少ない
・各施設でハード、ソフトの両面での連携が不足している
・府立植物園の正門や観覧温室、府立大学の体育館など多くの施設が老朽化している
・旧総合資料館跡地は地下鉄北山駅に接する重要な場所であり、早急な施設整備が必要
・エリア内には十分に活用できていない土地がある

さらに北山エリア周辺地域の課題については、以下のように述べられています。

・北山エリア北側の北山通は「現代性」「国際性」など自由でカジュアルなイメージを持つ地域であり、これらの特徴を活かすまちづくりが必要
・セレクトショップが姿を消し、一時期の勢いに陰りが見られる

いろいろと整備してきたものの、それが力及ばずであったということでしょうか?
施設が老朽化しているとありますが、元からあった施設が老朽化したのでしょうか。

もしくは2009年から取り組んでいた計画実施も、既に古いものになってしまったということかもしれませんね。

北山エリアの将来像

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北山エリアでは、5つのエリアを将来像として設定しています。

1.豊かな自然に包まれた環境
2.オープンに繋がる空間
3.多様な人々が集まり交流するまち
4.新たな文化・芸術の創造・発信の拠点
5.文化・芸術・学術・スポーツに触れられる魅力的な空間

この5つのエリアの将来像を踏まえ、「憩いの緑と躍動するまちが融合した文化創造の森の創出 ~豊かな自然の中で創造される文化・芸術・学術・スポーツに身近に出会い、交流するまち 京都北山~」の実現を目指す、としています。 

ずいぶんいろいろと盛り込んでいますね・・・。
自然を身近に感じつつも、複数施設の流動性を作り、なおかつ文化・芸術を発信し触れることが出来る場所作りを目指す、ということですね。

将来像を実現するための方策

なかなか大きなお題目を掲げている取り組みですが、4つの施設に対して取り組みを進めていく、としています。

府立植物園

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植物園の大切な役割である教育・学習機能や大学等と連携した研究・希少植物の保全活動を継続・発展させるための体制や施設の整備を進めていきます。

また、植物園のサービス向上、エリア内の回遊性を向上させるためにハード・ソフト両面での整備、民間のアイディアやノウハウの活用等、来園者の満足度を高めるための柔軟で弾力的な企画を進める予定です。

具体的な施策としては、次のようなことが検討されています。

・ビジターセンター、カフェ・レストラン、ミュージアムショップ等、複合的な機能を備えた正門の整備による植物園の魅力向上と来園者サービスの向上
・教育・学習・研究機能の充実と植物標本庫、展示室、図書コーナー等の整備
・機能劣化した観覧温室の大規模改修又は建替えにより、機能を維持・確保
・植物園と周辺施設がスムーズに繋がり、ハード・ソフト両面での垣根をなくした連携を可能とする施設整備

府立大学

府立大学は時代の要請や地域ニーズに対応できる「京都府の知(地)の拠点」に相応しいキャンパスを目指す、とされています。

大学独自の研究活動のさらなる発展と、それらを社会実装するための産学公連携等の推進やグローバル化への順応できる人材の育成を軸に、既存分野の再編と地域に貢献できるキャンパス環境の創出も目指します。

また、withコロナ・postコロナ社会に対応できる教育システムの構築や、用途に応じたゾーニングを設定するとのこと。
地域連携ゾーンには地域との交流が図れる施設を整備したり、スポーツゾーンには学生スポーツの拠点としての利用を検討していきます。

旧総合資料館跡地等

旧総合資料館跡地等は、エリアに立地する既存施設や周辺の国立京都国際会館や大学・研究機関の施設と連携していく予定です。

そして文化施設を単体で整備するのではなく、魅力的な体験ができる機会の創出、コンベンションと呼ばれるような会議、宿泊、飲食等を含めた様々な機能を提供することが出来るエリアにしていきます。

具体的には、舞台芸術系(演劇・舞踊・ダンス等)・視覚芸術系(絵画・写真・工芸・華道・書道・デザイン・建築等)が集積した、京都の他の施設にはない交流・創造・発表の機能の整備をしていくとのことです。

その他

その他の施設については、類似機能の集約、共同利用、エリア外への移転などを検討し、他の施設と連携して北山エリアの魅力を高める機能を持たせていく予定となっています。

京都府立植物園の再開発の計画の質疑応答

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質疑応答の中で、府立植物園に関連するものをまとめました。

質問 回答
豊かな自然環境に配慮して、整備をしてほしい。 「豊かな自然に包まれた環境」に配慮しながら、北山エリアが持つポテンシャルを最大限に発揮できるよう整備を行ってまいりたいと考えております。
植物園の景観に配慮した整備をしてほしい。 植物園を中心とした豊かな自然に包まれた環境や景観に配慮しながら、北山エリアの魅力を高めるよう、整備を進めてまいりたいと考えております。
新たな施設ができることによって、植物園の希少な植物が伐採されるなど、環境が壊されることのないようにしてほしい。
植物園の学術的・歴史的価値を重視し、植物園は単なる公園としないでほしい。 植物園の大切な役割である教育・学習・研究機能、希少植物の保全活動の継続及びこれまで培ってきた貴重な技術の継承をしながら、来園者の満足度を高めるための柔軟で弾力的な企画・運営方法の導入等、最適な整備・運営などについて検討を進めてまいります。
植物園は府内の絶滅危惧植物など、貴重な植物を保存育成するため、直営としてほしい。
植物園にはすでにカフェやレストランがあり、環境や景観の保全の観点から新たな集客施設やレストラン等は不要。 北山エリアが目指す将来像を多様な人々が集まり交流するまちとし、植物園においては、豊かな自然に包まれた環境に十分配慮しながら、北山エリアの魅力をより高めるために必要な整備を進めてまいりたいと考えております。
植物園は以下の課題があり、今後様々な整備・運営が考えられるが、誰もが使いやすく魅力が高まるようにしてほしい。
・施設の老朽化による魅力減少
・子供が植物について学べる機能の不足
・子供や障害者が楽しめる施設の不足
・コンサートができる場所が少ないなど
植物園のサービスや魅力の向上のためのハード・ソフト両面での整備と併せ、民間のアイデアやノウハウの活用等、来園者の満足度を高めるための柔軟で弾力的な企画及び管理運営について検討を進めてまいりたいと考えております。
具体的な整備や運営については、今後検討を進めてまいります。

引用:北山エリア整備基本計画(骨子案)に対する意見募集結果

ここだけを抜き出してみると、京都府民と協調しながら進めていくようにも思えます。
反対署名を集めている呼びかけ団体の主張はどのようなものなのでしょうか?

京都府立植物園の再開発に反対する理由は?

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2021年4月24日にChange.orgにて反対署名を集めるキャンペーンが開始されています。

主催は「京都府立植物園整備計画の見直しを求める会」及び「北山エリアの将来を考える会」です。
京都府に対して見直しを求めている内容はこちら。

・イベントのための大芝生地の野外ステージ設置の見直し。
・北山通り側の植物園敷地内での商業施設建設の見直し。
・賀茂川沿い植物園バックヤードの縮小・移動などの見直し。

その理由としては、京都府立植物園を植物園ではなく、賑わいと娯楽の施設に変えようとしている計画がされている、という点です。
特に植物園に関しては、以下の点について言及しています。

① 北山通りのウバメガシの垣根を切って、植物園敷地に商業施設を作ろうとしている。
② 温室裏、加茂川沿いにあるバックヤードの面積を縮小して、観覧者が出入りできるようにする。
③ 正門側にレストラン・カフェを含む建物を作り、アリーナの動線と一体で、アミューズメント機能を整備する。
④ 中央広場に野外ステージを作り、西洋花壇とともにイベントができるようにする。
⑤ 植物園の東西南北の境界をなくし、人々が自由に行き来できるようにする、等の変更が計画されています。

これでは植物園と呼ばれるものではなく、公園となってしまうという懸念から生まれた要望です。
100年近く守り育ててきた植物園を公園化したくない、という気持ちから署名活動を行っているようです。

署名活動はこちらで行われていますので、気になる方はぜひ見てみてください。

まとめ

京都府立植物園を含む北山エリアの再開発計画の内容の骨子と、どのような質疑があったのかを紹介しました。
署名を集めている団体と京都府の代表者が直接話した結果なのかまではわかりませんでしたが、両者にはまだ大きな溝があることは間違いありません。

近隣住民や利用者にとって、真に必要な形で実現されるのが一番だと思います。
今後お互いに合意できる内容で進むことを期待します。

京都府が作成した骨子についてはWeb上で公開されています。
公開されているPDFはこちらから見ることが可能なので、気になる方は直接見てみてくださいね。

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