デジタル給与の検討が始まってますね。
これまでは社会人の給与は現金か銀行振込でしか認められていませんでした。
これからは「○○PAY」や電子マネーなどの決済事業者からの支払いが解禁されます。
しかし、本当にデジタル給与はみんなが望んてることでしょうか?
実は反対意見も多くあります。
どのような反対意見があるのか、またデジタル給与のデメリットを紹介します。
デジタル給与の反対意見はどのようなものがある?
2021年4月5日、厚生労働省では2021年度のできるだけ早期にデジタル給与の制度化を目指すと表明しました。
日本政府では実現解禁を急いでいますが、労働界は様々な懸念事項から反発しています。
それではデジタル給与に対する反対意見はどのようなものがあるのでしょうか?
デジタル給与の詳細はまだ検討されてはいませんが、様々な反対意見が出ています。
生活費全てが旦那のスマホに入る?
専業主婦の方などに多く心配されている問題が、「全ての給与が旦那のスマホに入る」という点。
わざわざ毎回生活費としてスマホからスマホに振り替えるのが面倒だ、という意見がありました。
また、コロナ給付金でも問題になりましたが世帯主に一括して入ると、その人が全てを使ってしまうというリスク。
それほど多くの人は該当しないとは思いますが、給与をきちんと生活費として振り替えてもらえないという問題は残るでしょう。
セキュリティの懸念
セキュリティの問題を懸念する声は多くありました。
現状ではセキュリティが緩すぎて、心配だという声が多数。
個人情報が流出されたといったニュースがあると、デジタル化はセキュリティが気になりますよね。
また、スマホで管理していると、大きな額を振り込まれた際にスマホをなくしたり、目を離している隙に操作されたりするのも怖いものです。
いくつも乱立する民間企業の「○○ペイ」では信頼できないので、せめて国主導でのアプリを構築してほしいという声もありました。
しかし、COCOAがうまく動作していなかったという例もあるので、国主導だとしてもやはり不安は残りますよね・・・。
サーバでの一括管理への不安
サーバでの一括管理は不安、との声もあります。
そこで不具合が起こったら、お金が使えないのではという懸念される点。
また、震災時でサーバがダウンしたら使えない、ということも不安要素の一つのようです。
3.11以降、各社共に震災対応をこぞってやってきてはいます。
東京にサーバがおいてある場合、関西方面にバックアップセンターを置いていざというときにバックアップセンターに切り替える、という方針です。
とはいえ、実際に震災になってみないとわからないことは多数あるので、不安ではありますね。
災害時での不使用
サーバへの対策はできているかもしれませんが、コンビニなどで停電時などで現金が使えない、というのは不安ですよね。
「○○ペイ」で停電時の支払いはどのようにするのでしょうか?
クレジットや公共料金の引き落としは?
今後対応されるのかもしれませんが、家賃やクレジットカードや公共料金の引き落としが現在は銀行口座から行われます。
これらが「○○ペイ」に対応しないと、いちいち銀行に振り替えなければいけません。
時間がなかったり忘れてしまったりして銀行口座にお金が足らないとさらにややこしいことになりかねません。
田舎で電子決済しているところが周りにない
都会では電子決済が当たり前かもしれないが、田舎では使えるところがそもそも少ない!との意見もありました。
ニュースでインタビューを受けていたのは新橋や品川などのサラリーマンたちでしたが、地方ではどうするのでしょうか?
いちいちスマホに送金されたのを銀行口座に送るのでしょうか?
全国一律デジタル給与というのは、現時点ではあまり現実的ではなさそうです。
「○○ペイ」を使いこなせない!
年配の方が心配しているのは、スマホにもあまり慣れていないのに、「○○ペイ」などは使いこなせない!という不安。
これはもっともな意見ですね。
現在は定年退職後も再雇用で60歳以上になっても働いている人が多くいます。
そのような人達こそ、特にこの点が不安なのではないでしょうか。
デジタル給与の企業に対するデメリットは?
個人ベースの不安な点を紹介してきましたが、ここからは企業のデメリットを紹介します。
デジタル給与と口座振り込みの2重管理
デジタル給与が始まったとしても、全員がデジタル給与を希望するかというと、そうではないはず。
強制的に全員デジタル給与にします、と言っても反発する人は多くいます。
そこで、銀行口座振り込みとデジタル給与払いの2種類の管理にすると、管理が非常に煩雑になります。
資金移動業者破綻時の保全払い戻し期間
「○○ペイ」などを運用している企業が破綻した場合、預けているお金の払い戻しに時間がかかります。
払い戻しには、最低3か月から半年程度かかると言われています。
すぐにでも支払ってほしいのに、企業側の理由により払い戻しをタイムリーに行うことができないのが現状です。
このあたりが日本労働組合総連合会が指摘している点です。
システム連携費用や運用工数の増大
給与システムは既に銀行振込前提で作られているため、新規に給与支払いシステムを構築する必要があります。
従業員の希望を組み入れることが出来るようなシステム構築となると、融通の利くシステム構築となるため相当な費用・工数がかかるでしょう。
今後、どのようにデジタル給与のスケジュールが動いていくか不明ですが、「この日から全国一斉にデジタル給与です」というのは不可能ではないでしょうか。
デジタル給与のメリットは?
もちろんデジタル給与を行うメリットもあります。
そちらについても、触れておきます。
振込手数料の削減
銀行振込の場合、振込手数料がかかっています。
この費用がデジタル給与にすると削減することにつながります。
しかし、この振込手数料が何年で回収できるのか。
新システムの導入で大きな金額を使った場合、何年で回収できるのかは試算した方が良いのでは。
銀行口座を持たない従業員への給与支払い
外国人労働者は銀行口座を持つまでが一つのハードルとされています。
個人で複数の銀行口座を持つことができなかったり、滞在期間が短いと口座を作ることが出来ません。
そのような人に、口座を作らずとも給与を振り込むことがメリットであると言われています。
しかし、このコロナ禍で現在はこのようなニーズが低下しています。
新規で外国人の受け入れを行っているところはかなり限られているためです。
また、家族への送金するときに制限がないのかが気になりますね。
結局銀行口座が必要、ということにならないでしょうか。
まとめ
デジタル給与に対する反対意見、デメリット、またメリットについてをまとめました。
メリットについては、「キャッシュレス化の推進」「現金輸送車の襲撃やマネーロンダリングなど犯罪の防止」などもあるようですが、それほどメリットとして何かを享受できるほどではないな、と思い記載しませんでした。
これからデジタル給与について検討が進んでいきますが、いずれにせよ日本国民が住みやすい世の中になればいいなとは思います。
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